思っちゃったんだからしょうがない

今回は紹介記事なし。

と、言うのも完全に私的な、かつ独善的な内容だから。

賛否両論あるとは思うが、筆者はこう思っちゃったんだからしょうがない。という訳で相も変わらずつらつらと書きなぐります。

 

この程、働きたい企業ランキング中小企業版が発表されたそうだが、そこで一位に輝いた企業の給与査定システムに驚いた。

社員全員で一個人の給与査定を行うとのこと。

画期的というか、デリカシーが無いというか、経営者の責任感皆無というか、責任転嫁甚だしいというか、まぁとにかく素晴らしい制度だ。

 

記事によれば、この企業は年に一度二日間に渡って社員の評価を全社員で行ってその場で給与額も決まるそうな。ちなみにお酒も入ったイベント的なノリで。

 

敢えて言おう。これは360度評価の誤った使い方の典型だ。

人事部、または社長、役員の怠慢以外のナニモノでもないし、その企業で働く「人財」に対する冒涜以外のナニモノでもない。

 

人間という生き物は利己的で独善的で欲望の塊である。それは何よりも紀元前の遥か昔から洋の東西を問わず歴史が証明している。

人事評価とは常にその人間の濁った眼との戦いの歴史なのだ。

企業や組織、集団は評価制度の正解を求めて常に戦い続けているのだ。

 

問題はこの企業が絶対の信頼を置いている360度評価とはその評価に臨む者の資質によって得られる成果にとてつもなく大きな、そして時には取り返しのつかないようなズレが生じるというツールであるということだ。

そこを見えないフリ、気付かないフリをしている企業体質こそに問題があるのではないだろうか。

ツールはツールであってシステムではない。

360度評価とは評価制度の補助的なツールであるべきであって、そのものだけで評価が出来るような代物ではない。

ましてや、社員を財と捉えるのであればその企業の責任を負う社長や役員、もしくは人事権を持つ人事部が行うべきものだ。

社長や役員、担当部門が「普段の仕事を見れないから」評価出来ないとは言語道断。それは職務放棄以外のナニモノでもない。実に情けなく、戦慄すら覚える愚行だ。

評価というのはその評価を受けた者も、評価を与えた者も等しく責任を持つ必要がある。

果たしてこの素晴らしい360度評価に参加した全社員がその責任をどのように捉え考えているのだろうか。

他者を評価するという最も重く責任重大なタスクを企業全体、役員から中堅、新卒社員に至るまでどのように受け止めているのだろうか。

そして何より、企業責任を一手に背負う社長さんはどのように考えているのだろうか。

それほどまでに全社員が成熟しているとでも言いたいのだろうか。恨み妬み嫉みが一切介在しない、菩薩のような人間ばかりが集まった企業なのだろうか。

それはあり得ない。もしもそんな理想郷のような組織、集団が形成されるのであればそれは最早企業とは呼ばない。

 

宗  教  団  体  だ  。

 

甚だ不躾な意見で大変恐縮だが、筆者はこういった取り組みを鼻高々に誇る企業は一切信用しない。